前庭部萎縮性胃炎

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前庭部萎縮性胃炎の状態はほとんどピロリ菌感染から

前庭部萎縮性胃炎とは、炎症が胃の出口部分である前庭部に限って確認される状態を言います。内視鏡的に前庭部に限った胃粘膜異常の所見であり、病名というような意味はあまりありません。むしろ、比較的若い年代に多い粘膜萎縮前段階の「表層性胃炎」、小児から若年者のみに見られる、まるで鳥肌のような顆粒状粘膜を認める「鳥肌胃炎」、多発性点状また斑性のびらんを認める「びらん性胃炎」、などの病態を発症する部位が前庭部です。

 

いずれも大抵ヘリコバクター・ピロリ菌感染による、本格的萎縮性胃炎に至るまでの過程における慢性胃炎の初期状態といっていいでしょう。更に言うと、ヘリコバクター・ピロリ菌感染からくる粘膜萎縮が、初期段階で前庭部にとどまっているときは、胃酸分泌が高い状態となります。その結果、萎縮性胃炎ではなく、十二指腸球部の胃上皮化生が生じ、十二指腸潰瘍が形成されることが多くあります。

 

胃は、食道からの入口噴門部の方から胃底部、胃体部(上部・中部・下部)、胃角部、出口付近の前庭部と分けて呼ばれています。一般的にピロリ菌に感染した胃粘膜は胃の出口の近くの前庭部から炎症が始まり、やがて起きる萎縮性変化が、次第にゆっくりと食道側に拡大しながら胃全体に拡がっていきます。

前庭部の腸上皮化生、鳥肌胃炎は胃癌のリスク群されていますが、実際現場では炎症や萎縮が前庭部に限られた初期状態の慢性胃炎を、発癌のハイリスク群と考えている医師はいないといっていいぐらい、初期萎縮性胃炎イコール胃粘膜の老化現象くらいの認識です。

 

ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃炎は前庭部を中心としており、B型胃炎ともいわれます。これに対し胃底腺部が萎縮する自己免疫性胃炎があり、A型胃炎と呼ばれますが、日本では欧米と比べてA型胃炎の発症例は非常に少ないです。

 

日本人はヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると、胃の下の方から上の方に炎症が広がる人が8割くらいといわれています。炎症が広範囲になると胃粘膜の萎縮が進みやすく、胃酸の分泌も低下して、「萎縮性胃炎」と呼ばれる状態になります。これが日本人に胃がんが多いとされている大きな理由でもあります。一方、欧米人には胃の下部に炎症を起こす「前庭部胃炎」になる人が多く、前庭部胃炎では胃酸の分泌が高まって十二指腸潰瘍になりやすいものの、胃がんにはなりにくいことが知られています。

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